宇賀田会計事務所ニュース2024年5月版
2024/05/31
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- 今年度から適用になる税制改正
(1)飲食交際費の範囲の変更
2024年4月から適用になった税制改正で多分もっとも多くの方に影響があるのが、接待交際費に含まない飲食費の範囲拡大かと思います。
現在の飲食費1人当たり上限5000円から1万円に拡大されます。留意点は以下のとおりです。
- 会社外部の取引先等との飲食が対象で、いわゆる社内飲食費は対象ではない
- 飲食費のみで贈答などは対象ではない
- 1軒あたり1人あたりの金額が1万円以下
- 税抜経理処理を行う場合は、消費税抜きで上限が1万円。税込み経理だと消費税込みで1万円が上限
- インボイス発行事業者以外の者からの仕入れについても継続的に行われている経理処理に応じて1万円の判断を行う
- 適用要件として、飲食に参加した事業関係者(自社でない)の氏名等一定の事項を記載した帳簿の保管が必要
物価の高騰から飲食費もどんどんと値上がりしてきています。なかなか会費5000円で接待飲食を行うことは、なかなか困難になってきていたとおもうので、現状に即した改正かなと思います。
(2)賃上げ促進税制
賃上げ促進税制の拡充も多くの方に影響がある改正かと思います。世の中では、大きく賃上げを行う方向になっていて、賃上げの検討は、重要な経営課題になっています。
社会的にも賃上げとデフレの解消(インフレ対応)が大きな課題なので税制でも大きく賃上げすれば大きなメリットがある制度となっています。
計算方法も、以前はとても複雑で大変な制度だったのですが、現在は、一人ひとりの賃金でなく、支給給与総額がベースになっているので、簡単になっています。これから記載する制度の対象は、中小企業のみですので、大企業や中堅企業はふくまれません。
- 支給増加率と税額控除率の関係
全雇用者の給与等支給額
(前年比) |
税額控除率 |
+1.5% | 15% |
+2.5% | 30% |
※ただし法人税額の20%を上限とします。
さらに内容はよく分からないのですが、「くるみん」「えるぼし」といった労務に関しての公的な認定を一定以上得るとさらに5%の控除率が得られます。
- 控除しきれなかった金額の翌期への繰り延べ
賃上げした事業年度が赤字や、大きく賃上げしたことで、控除しきれない税額控除が残った場合には、最大5年間の控除額の繰延が可能になります。利益が出ない会社やたまたまな要因で減税のメリットが受けられないケースもよくありましたし、他の繰り延べ可能な税額控除の税額は2年が多いので、優遇されている税制だと感じます。
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